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人と人、人と自然の関係を今一度見直すために、「贈与」について考えてみよう。利益を越えた、その可能性は今の社会にあって無謀かもしれないけれど、冒険の価値があることなのだと思わせてくれる一冊です。
四六判 / 182p / ソフトカバー
プロローグ
オンラインと格差/混沌とした時代と揺らぐ価値観/贈与の可能性/贈与のいま
第1章 贈与をめぐる日常――プレゼントはなぜうれしいのか
1 あげる人、もらう人
子供と大人の違い/友達どうしの水平な関係
2 贈与とお返し
悩ましいバレンタインデー/お祝いにお返しは不文律
3 贈り物をするわけ
人間関係をつくるための手段/記念日とプレゼントは切り離せない
4 贈与の力学
贈る側がつねに優位/ポトラッチと朝貢貿易/贈与と権力
5 贈与の毒
悪意の贈与もある/無意識にひそむ贈与の毒
第2章 与えられているもの――贈与と他者
1 校 則
校則に反発したくなる理由
2 法 律
一方的に与えられているわけではない/贈与としての憲法/アンガージュマン
3 文 法
自覚しないで従うルール
4 言語のシステム
ラング(言語)による支配
5 結婚のシステム
現代に残る慣習/インセスト(近親相姦)はなぜタブーか
6 知 識
他者から与えられるもの/情報・資料・所与/贈与と哲学/他者とのかかわり
第3章 贈与の慣習――贈与と資本主義Ⅰ
1 贈与と社会的慣習
面倒なコミュニケーション/世間と「村八分」
2 贈与と村社会/村社会の掟/商業的交換の功罪
3 資本主義
金がすべて?/贈与につきまとう不平等/広がる格差/「無縁社会」の到来
第4章 新しい贈与のかたち――贈与と資本主義Ⅱ
1 社会保険
セーフティネットの役割/モースの着眼
2 ギフト・エコノミー
「カルマ・キッチン」と贈与の連鎖/ギフト・エコノミーの弱点/クルミドコーヒーによる「ゆっくり、いそげ」の冒険/「消費者的な人格」と「受贈者的な人格」
3 ボランティア
ゆるやかな自己贈与/ボランティア精神の根底にあるもの/贈与によるつながり
第5章 自然の贈与――感謝するということ
1 気候変動
加速する温暖化/自然の支配
2 自然の恵み
「生態系サービス」「自然資本」という考え/太陽の贈与/太陽に由来するハロウィンとクリスマス/「いただきます」/草木塔/鯨供養
3 宮沢賢治と自然
「よだか」の苦悩/蝎の願い/狼森と笊森、盗森
エピローグ
ブックガイド
あとがき