現実と大きくかけ離れたトランスジェンダー像が広められる昨今。ここにあるのはひとりのひととしての確かな声です。この本を手にしてその声に耳を傾ける、そこから始まることがある。わたしたちは繋がっていると思わせてくれる一冊です。
「くだらない話がしたい。好きな芸能人の話、楽しかった映画の話、最近ハマっている音楽のこと。くだらない話を、くだらないままに、けれど私がトランスジェンダーであることも、女であることも、それらのアンテナを通じてもたらされる私の経験のことも、隠したりごまかしたりせず。」(三木那由他「くだらない話がしたい」より)
A5判 / 96p / 無線綴じ
【目次】 ☆=増補分
はじめに 水上文
[エッセイ]
・三木那由他「くだらない話がしたい」
・ただの沼「べつの言葉で」
・青本柚紀「クィアな自認の時間性——あなたにそれが届くまで」
・山中千瀬「言葉がほしい」
・さとう渓「トランスジェンダーは難しくない」
・水上文「シスジェンダーとは何か」
・かがみ「「キラキラしたトランスジェンダリズム」ってなんですか?」
・福永玄弥「わたし(たち)は忘れない」
・高島鈴「その声には応答しない」
・近藤銀河「シスターズへ」
・堀田季何「メモ・ノワール」
・榎本櫻湖「声について」
・山内尚「熊で鹿で兎でそして」
・呉樹直己「セックストイと自炊飯」
・清水晶子「背を向けて、彼方を見つめて、向き合って」
・岩川ありさ「雑踏の中でも見つけられる」
☆釘宮もみじ「身体と知を売ることについて」
☆吉野靫「ご機嫌いかがですか」
☆周司あきら「共犯者」
・児玉美月「世界のトランスジェンダー映画5選」
[共にあるためのブックガイド]
・水上文「私たちの問題——「トランスジェンダー問題」を捉え直す」
(ショーン・フェイ著/高井ゆと里訳『トランスジェンダー問題』)
・中村香住「トランスジェンダーとフェミニズムの共闘点」
(田中玲『トランスジェンダー・フェミニズム』)
・近藤銀河「ハンマーの共鳴音を探る」
(橋迫瑞穂『妊娠・出産をめぐるスピリチュアリティ』、李琴峰『生を祝う』)
・青本柚紀「割り当てられた性を出てゆく経験としてのトランス」
(エリス・ヤング著/上田勢子訳『ノンバイナリーがわかる本』)
☆青本柚紀「Aセクシュアル・Aロマンティック・Aジェンダー——こうしてあなたたちは疎外の夜をつくる」
(夜のそら「Aセク情報室」)
☆高島鈴「“自然”を語る新しい言葉」
(ジュリア・セラーノ 著/矢部文訳『ウィッピング・ガール』)
☆水上文「奪い返し、問い返す——「性同一性」をめぐって」
(針間克己『性別違和・性別不合へ』、五月あかり・周司あきら『埋没した世界』)
☆周司あきら「トランスジェンダーの仲間と再会する」
(虎井まさ衛編著『語り継ぐトランスジェンダー史』)