「悲しいから泣くのではなく、泣くから悲しいのである。」という話はジェームス・ランゲ説で有名ですが、本書ではそんな「感情」の正体を求めて歴史、政治、経済といったさまざまな視点から掘り下げていきます。
以下のたっぷりな目次を見るだけで、興味が湧いてくる方も多いはず。
感情とはどこからきて、どこへ向かう何者なのかーーー生理や心理だけではない、外との関わりから「感情」についてじっくり考えてみましょう〜◯
四六判 / 200p / ソフトカバー
【目 次】
はじめに 人は昔、「ぴえん」と泣いていた。
I 感情はどこからくるのか?
1 感情は意外と新しい
感情のはじまり
感情は私たちの外側にある
2 ありかを探して
感情は「からだ」に属する
感情の源は「子宮」にある
感情の「心理学」のさまざまな説
「後悔」と「悲しみ」
「分人」という概念
「本当の自分」とは
社会的な「分人」
日本における「私」
「世間」と感情
3 「しぐさ」と感情
言葉は万能ではない
民俗的感情とは
近代日本の「感情史」
主題は「我々」
幕間 感情的会話 その1
Ⅱ 感情とはなになのか?
1 感情は「表現」なのか
「泣く」ことと「涙する」こと
「ぴえん」という泣きかた
絵文字への派生
「ぴえん」の歴史性
ラメンテーションとしての「泣き祭」
泣く女、泣く男
現代文化の問題
2 「いいね! 」の進行形
絵文字による感情表現
「かわいい」と「かなしい」
「おもしろい」と「楽しい」
3 「微笑」と「奇妙な笑い」
ハーンが見すえた「感情」
義務としての微笑
「笑い」を科学する
突発する「例の笑い」
感情と怪異
文化的反応としての笑い
4 「笑い」と「ウソ」
村には評判の〝ウソつき〟がいた
「ウソ」の歴史
「ウソ」を叱る
5 笑う祭と泣く祭
神の前で「笑う」祭
「笑い講」
真夜中の「笑い祭」
神の前で「泣く」祭
6 『「いき」の構造』の「いき」
「媚態」と「意気地」と「諦め」
「関係性」のデザイン
7 「らしさ」のゆくえ
「人間らしさ」と「自分らしさ」
「わざとらしさ」と「もっともらしさ」
8 感情の政治性と社会性
冷笑は笑いか、怒りか
「ジレる」と「キレる」
「残酷」という感情
広島弁の「いなげな」
幕間 感情的会話 その2
Ⅲ 感情はどこへ行くのか?
1 共感の時代?
「いいね」は共感なのか
「シンクロニシティ」はあるのか
「こころ(心)」の誕生と終焉
「文字」に代わるもの
2 感情の公共
「いき」という公共圏
ソーシャルメディアで「いき」は生きるか
不気味の谷
文楽人形をめぐる感情
「もどき」と感情
AI にたいする恐怖
新しい感情か、伝統的感情か
「感情」と現代美術
3 感情をつくる
「エモい」を超えて
「推し」と「尊い」
「宗教以降」の感情
「感情」にたいするうしろめたさ
終幕 感情的会話 その3
参考・引用文献一覧