お知らせ(展示やイベントなど)

「本と商い ある日、」からのお願いです。

こんにちは。「本と商い ある日、」です。
今年の3月頃に沖縄の浜比嘉島に物件を見つけ契約、7月のオープン目標に向けて日々準備をしています。

ある日、は東京にあるSUNNY BOY BOOKSという本屋の姉妹店になりますが、売り上げが取れていて2店舗目を出します、というような話ではありません。個人事業という小ささゆえ、家族の事情ひとつで状況は一変します。自分の場合は連れの転職に伴い彼女の地元である沖縄に移住することになりました。東京のお店は自分が生きていける規模の売り上げだったので現実的な話、スタッフに入ってもらってから利益はほとんどありません。それでも残したかったのは自分のエゴかもしれませんが、小さくとも本屋という場所がなくなって欲しくなかったからです。それに沖縄にお店ができれば、東京のお店とも関わりながら面白いことが始まるかもしれないと思っていましたし、お金の面でも両輪でならなんとか商売としてやっていけるのではないか、という願いがありました。
これからある日、とサニーそれぞれの場所で沖縄と東京の本やアートといった文化が交錯していけばと思っています。

現在物件の契約金、内装工事費、本棚や備品費、仕入れといった初期費用について、手持ちのお金のほかに沖縄県内の金融機関に融資申請をしています。内装の工事は必要最低限としてできる範囲は自分で行い、本棚やカウンターも自作、仕入れも東京の在庫から回せる分は回すなどなるべく費用がかからないように取り組んでいます。ただ、それでも仕入れに回せる資金が心許ないところがあり、少しでも充実した棚でスタートできるようにドネーションの協力を呼びかけることにしました。

一度はクラウドファウンディングも考えましたが、調べていてなんだか自分にとって規模の大きな物事のような気がしてたじろいでしまいました。そこで小さくとも自分のできる範囲から呼びかけられたらと思い、ドネーションブックを制作することにしました。

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◯ドネーションブックについてはこちら
https://hamahiga-aruhi.stores.jp/items/6283a8467d1161632d109124
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リターンは本にサポーターとして名前が載る、というシンプルなものしかありませんが、「本と商い ある日、」が出来るまでとこれからどうありたいのかが詰まった本ですので買って読んで支援していただけたら嬉しいです。

その辺り、本の内容とも重なるところもありますが以下改めて簡単な自己紹介からお店についてになります。
一読いただき、本の購入(複数口も大歓迎)をご検討いただければと思います。

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「本と商い ある日、」の高橋と申します。
僕は大学生から6年ほど新刊書店で働いたのち、2013年に東京の学芸大学駅にSUNNY BOY BOOKSという小さな本屋を立ち上げました。7年半ひとりでお店を運営してきましたが、2021年に連れの実家である沖縄県に2歳(当時)のボーイと3人で移住をしました。現在、東京のお店はスタッフに現場を任せ、自分は仕入れや展示の企画、経理など事務仕事を遠隔で行っています。

沖縄でも場所が持てたらと物件を探していましたが、なかなかここ、というところに巡り会えないまま1年が過ぎていました。個人の本屋は那覇に集まっていることもあり、自分の住んでいる中部に小さな規模でも本という様々な声が集まる場所があればと思っていました。今年に入り浜比嘉島という本島中部から橋で渡った小さな島に古民家を見つけ、土地の風景や集落の様子に惹かれ、ここで暮らす人々や自身の家族との生活を大切に本を届けていけたら、と思い至りお店をやることに決めました。

自分は千葉県出身と、沖縄とは連れの家族以外の繋がりはなく、食べ物や言葉、行事などの独特の文化や基地問題といった政治的切実さについて自分なんかが知り得ない「未知」の場所という印象がずっとありました。
そんな自分がこの土地で本屋をやる、そう考えたとき今まで東京でお店をやってきたなかでも感じていた「「あなた」や「わたし」と言った小さな主語に目を向けて「ともにある」あり方を考えていけたら」という願いをこの場所に込めたいと思いました。

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「本と商い ある日、」という本屋のかたち

1日を、1週間を、1ヶ月を、1年を、10年を、100年を振り返った時、
わたしたちの生活はいつかの” ある日 “が積み重なって形作られています。
確かに過ごした時間に目を向けて、これからのあなたとわたしの話をしましょう。
そんな小さなことを大切に、お店をやっていこうと思います。

また、ある日の後に「、」(句読点)があるのはそこから言葉が続いていくように、
「ある日、」という場所から良い1日をお過ごしください。
というお見送りの気持ちがあったりもします。

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そんな風に今まで本屋をやり感じてきたこと、これからやりたいことを考えた時に以下の4つを柱とし「本と商い ある日、」の目指すこととしました。

①「”ともにある”本屋」
_時を、国を、人種を、性差を、宗教を越えて、ひととひとがともにあることを共有できる本を選ぶことで、「ここに居ていいんだ、ひとりではないんだ」と思える場所を作っていきます。多様な他者を感じられる、良い意味での違和感から本を手にしたひとの世界を広げ、揺さぶられる感覚を共有していければと思っています。

②「本とひと、ひととひとが繋がるセーファースペース」
_性別、性的指向、人種、経済的格差、政治的信念、身体能力、階級、年齢、容貌、宗教、障害の有無など、ひととひとにおける無数の違いを認めながら、自分たちの持っている特権に無自覚にならないように場所を運営していくことをポリシーとします。

③「今、本屋をやるということ、本屋という体験」
_本を主体としながらも、できる限り開かれた場所として好奇心の入口となれるように“商い”としてグッズ、お土産、ギャラリー、喫茶から本のある空間を楽しんでもらえたらと思います。またゆくゆくはワークショップやコミュニティガーデンといった様々なひととひとの出会いが生まれるあれこれを提案していければと考えています。

④「小さく持続していく」
_小さいながらも関わりの中で本を届けていく。スモールな単位でお金を払う方も払われる方も目の前にいるひとの奥にある生活を想像しながら、そのお金がどう使われるのか考えるような距離感を大切にしていきます。

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以下は写真とともに、「本と商い ある日、」のできる場所と具体的な構成についてです。

場所は島内人口は500名ほどの小さな島「浜比嘉島」、その集落の古民家に「本と商い ある日、」はできる予定です。
琉球開闢神話におけるアマミキョとシルミキョをはじめとした
神々を祀っていることでも知られる島で、別名「神々の住む島」とも呼ばれています。

内容工事前の店内。玄関を入ってすぐになります。
靴を脱いで上がっていただくスタイル。手前が物販スペース、奥が簡単な喫茶スペースをイメージしています。
床と壁に少し手を加えますが、現状を活かしたお店作りをしようと思っています。

喫茶スペースをコの字形に折れると現れるスペース。
こちらには壁を増設してギャラリー展開をしていく予定です。

お店を出た通りです。
似たような造りの民家が並びます。

集落を散歩すると元気にしげる植物や伸び伸び過ごすネコたちに出会えます。

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これからのスケジュールは、
◯4月ー5月上旬:依頼していた内装工事の終了
◯5月下旬:壁と床の施工終了
◯6月中旬:棚やカウンター完成
◯6月下旬:商品設置
◯7月上旬:オープン予定

として取り組んでいます。

またお店のロゴは絵描き、イラストレーターの土屋未久さんにお願いしました。
こうあれたら、という「本と商い ある日、」の願いをお伝えしたところ「誰かのある日は別の誰かのある日とつながっている。あなたとわたし、みんながつながりながら、本という広野で思考や心をみつめる姿」として絵にしてくださいました。

そもそも土屋さんにお願いした理由も、自分が東京のお店にひとりで関わる最後に作った『SUNNY 特別号 あなたとわたし』の表紙を土屋さんに描いていただいたのがきっかけでした。つながりから生まれたロゴがこれからともに歩いてくれることを嬉しく思っています。

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本を購入していただき集まったお金はすべて「本と商い ある日、」の充実した棚作りのために使わせていただきます。

そして行き来するひととともにある空間として本を選び、本屋という場所を作っていければと思います。
個人のお店ということで常に、そして完全に開かれた状況を作るのは難しいかもしれませんが、目標として自分自身が忘れず大切にこの場所をやっていきます。

どうぞよろしくお願いいたします。

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<店主プロフィール>
髙橋和也(たかはしかずや)
1986年5月22日生まれ。
2009年に明治学院大学心理学部を卒業後、
青山ブックセンター六本木店と本店(青山)にて2013年1月まで働く。
それ以前、学生時代のリブロ松戸店でのアルバイトを含めて6年間の書店勤務を経験してから
2013年6月に本屋、小出版、ギャラリー展示を行うSUNNY BOY BOOKSをオープン。
2021年2月に沖縄に移住し、遠隔で運営に関わる。
現在は本屋「本と商い ある日、」のオープン準備中。