お知らせ(展示やイベントなど)

月刊 OKINAWAのかたち with 片岡メリヤス|11月

「キジムくん」をナビゲーターに1年を通して ぬいぐるたちと沖縄についてゆるく、真面目に学んでいきます。
日中の気温が30度以下になり、ゆっくり秋の気配となってきた
沖縄の11月はどんなおともだちを紹介してくれるのでしょうか。
キジムくん、ゆたしくねー◯

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本企画について詳細はこちら↓
https://hamahiga-aruhi.net/news/62d4e8e10046075c36888e49

はいさい!キジムくんです。
サンセットタイムが18時前になって冬が近づいてきたんだなーと感じているよ。
10月はある日、の店主がコロナになって臨時休業もあったんだよな。
人間は大変だ。みんなも気をつけてくれよな。

11月のオイラのともだちは特殊能力の使い手って感じだな。
特技を活かせる、って最高だ。

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*おまけ話
キジムナーには「大石林山」、「ガンガラーの谷」など古いガジュマルの木があるところに行けば出会えるかもしれません。
サンゴ礁の海に暮らすグルクンの頭が大好物。海に潜って漁をするのが得意でひとと一緒に漁に行ったり、人間と結婚したりもするなどひととの距離感が近い存在とされています。
そんなフレンドリーさもありながら、住んでいるガジュマルの木を切られたりして怒るとひとの命を奪うくらいとことん追い詰めてくる恐ろしい一面も持っているとか。「タコ、ニワトリ、熱い鍋蓋、屁」が嫌いなので、もしもの時は投げつけて逃げてくださいね!

*ぬいぐるみの特徴
キジムくんはよく寝てよく食べます。思ったより大食いで食べ散らかす癖があるので食材 を出しっぱなしにしていると大惨事になるでしょう。前髪がジャマをして近視になってし まった為、他のキジムナーより嗅覚が発達しています。匂いをかぐのが好きで人間も匂い で覚えます。人間とともだちになるために「ある日、」に住みついています。

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◯泡盛の日(11/1)

沖縄の特産のお酒と言えば「泡盛」を思い浮かべる人も多いはず。8月に紹介したパーランクーも泡盛好きでよく酔っ払ってバチをなくしていたっけな。そもそも泡盛は、日本の酒税法で「焼酎乙類」として分類されている焼酎の仲間なんだ。米(今はタイ米が主流)の麹(黒麹菌)を100%原料とした蒸留酒(しかも一度の蒸留で製造される)であるといった「原料」「麹」「製造方法」などの特徴から泡盛は出来ているんだよ。
沖縄ではお酒のことを一般的に”サキ”って言うけど、ではなんで泡盛は泡盛なのか。「元々は「粟」を使って焼酎を造っていたので「粟盛り」と言うところから」とか「蒸留する際に泡が盛んに出るところから」とか「昔は酒をひしゃくですくって上から甕(カメ)にこぼした泡立ち具合からアルコール度数を計ったから」などどれも正しそうなんだけれど、正直おいらにもよくわからないよ。そんなことより今日も美味しい泡盛が飲みたいってわけ。シークヮーサーで割るのもオススメさ。いつでも差し入れに持ってきてくれよな。

*おまけ話
泡盛は作ってから3年以上ねかせたものを古酒(クース)と呼んでいます。長くねかせて熟成させることでより味わい深いおしいお酒になります。さかのぼること1662~1722年頃の古酒があったとされていて、長く時間が経っても味を保つために古酒づくりには「しつぎ(仕次ぎ)」という手法が用いられています。一番古い酒(親酒:アヒャー)に対して5番手あたりまでの酒を用意し、親酒を少し飲んだ後は二番目に古い酒を継ぎ足し、二番目には三番目に古い酒を継ぎ足す、というのを順に行っていく方法です。その際は甕(カメ)貯蔵することで絶えず味と香りを磨いていくことが出来ます。
ご自宅での古酒を育ててみるのはいかがでしょうか?

*ぬいぐるみの特徴
黒麹菌くん:黒麹として受け継がれてきた発酵という魔術を継承し、泡盛を発酵させることに命を燃や している。仲間に白麹や黄麹もいるけど、沖縄の泡盛は黒麹の担当になっている。黒麹は クエン酸を多く含んでいて、みんなの疲れを取ったり健康サポートもしている。「お酒は 二十歳になってから...」と呟きながら、人間が二十歳に成長するのを毎年楽しみにしつ つ、長年付き合いのある酒飲みたちの様子も常に観察している。非常に優秀な黒麹。

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◯琉球びんがたの日(11/16)

お次はパッと鮮やかな色と自由な文様で目を引く、沖縄を代表する染め物の「紅型(びんがた)」だ。11月16日は「いい(11)いろ(16)」と読む語呂合わせと「伝統工芸品月間」から「琉球びんがたの日」として日本記念日協会が認定したんだって。ちなみに、「紅」は紅色のことではなくて色全般のこと、「型」はその独特の文様を意味するから覚えておいてな。米糊を防染に用いて、顔料や染料で色差し(イルクベー)、地染めをした文様染め(型染め、筒描き染め)が一番の特徴だな。
沖縄は第二次世界大戦で焦土となり、紅型に使う型紙や道具、見本が消失して文化継承が危ぶまれたんだ。でも城間栄喜さんと知念績弘さんらが中心となり1950年に紅型保存会が結成され、材料を集め、道具や顔料を作り、技術を伝えていったおかげで今に受け継がれているというわけ。沖縄県内では首里を中心に、紅型の体験ができる工房がちらほらあるから沖縄に来たときはぜひ行ってみてくれよな。

*おまけ話
紅型の起源は古く、15世紀頃にさかのぼると言われていますがはっきりしたことはわかっていないそうです。ただ、現在のような制作様式が確立されたのは18世紀頃とされ、琉球の三味線音楽や舞踊、陶芸、漆芸とともに、王族や士族の衣装として王府の保護、育成のもとに首里を中心に発展しました。
また紅型の代表的な色のひとつに深みのある鮮やかな黄色がありますが、これは「福木」の樹皮から取れる染料を用いています。福木は広く防風林として植えられており、浜比嘉島一体にもたくさん生えているのである日、にお越しの際は注目してみてくださいね。

*ぬいぐるみの特徴
福木くん:防風林として植えられていたけど、風の噂で樹皮から綺麗な黄色が出る身体だと知り自分 の人生を考え直した。できればおしゃれをして一生を終えたいと思い、枝に泊まりにくる 鳥たちに教えてもらって紅型を知った。自分も樹皮から染料を出して紅型を作ろうと試行 錯誤を繰り返した結果、木の幹から紅型が滲み出してくる特殊な身体を手に入れることが できた幸福な福木。

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みんなそれぞれ悩みを抱えながら、それぞれの個性を伸ばして頑張っているんだなーと思って元気をもらったよ。
てなわけで、12月の師走にまたやーさい。