お知らせ(展示やイベントなど)

月刊 OKINAWAのかたち with 片岡メリヤス|3月

「キジムくん」をナビゲーターに1年を通して ぬいぐるたちと沖縄についてゆるく、真面目に学んでいます。
あっという間に過ぎていった2月、というわけでもう春ですね。今年は比較的お天気の日が多い沖縄です。
3月も陽気にキジムくんに沖縄のこと、ぬいぐるみたちのことを教えていただきましょう。キジムくん、ゆたしくねー◯

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本企画について詳細はこちら↓
https://hamahiga-aruhi.net/news/62d4e8e10046075c36888e49

はいさい!キジムくんです。
2月は日が少ないのに、店主も1週間くらい東京に行っちゃってお店が閉まっていたからちょっとつまらなかったぞ。3月はお店のオープン日も多いからおいらにも会いにきてくれよな。

今月のおいらの友だちは、ぱっと見の可愛らしさに加えて性格もなんだかほっこりする面々だ。
みんなの特徴も読んでってくれよな。

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*おまけ話
キジムナーには「大石林山」、「ガンガラーの谷」など古いガジュマルの木があるところに行けば出会えるかもしれません。
サンゴ礁の海に暮らすグルクンの頭が大好物。海に潜って漁をするのが得意でひとと一緒に漁に行ったり、人間と結婚したりもするなどひととの距離感が近い存在とされています。
そんなフレンドリーさもありながら、住んでいるガジュマルの木を切られたりして怒るとひとの命を奪うくらいとことん追い詰めてくる恐ろしい一面も持っているとか。「タコ、ニワトリ、熱い鍋蓋、屁」が嫌いなので、もしもの時は投げつけて逃げてくださいね!

*ぬいぐるみの特徴
キジムくんはよく寝てよく食べます。思ったより大食いで食べ散らかす癖があるので食材 を出しっぱなしにしていると大惨事になるでしょう。前髪がジャマをして近視になってし まった為、他のキジムナーより嗅覚が発達しています。匂いをかぐのが好きで人間も匂い で覚えます。人間とともだちになるために「ある日、」に住みついています。

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◯三線の日(3/4)

語呂合わせがバッチリな「さん(3)しん(4)」ってことで、沖縄文化の代表格である三線の伝統と技術を受け継いでいこうと1993年に制定されたんだって。正式な名称としては「ゆかる日(縁起の良い日) まさる日(優る、勝る日) さんしんの日」って言うんだ。琉球放送が提唱したってことで毎年この日はラジオも三線特集ってわけ。オイラもこの日はラジオから流れてくる「かぎやで風」に合わせてマイ三線をガジュマルの木の下で弾いてるよ。思ったより簡単だからぜひチャレンジしてみてくれよな。ちなみに三線作りには職人技が必要不可欠で、原木選びから仕上げまで数十年かけて作られるものもあるくらいなんだ。胴部分をチーガと呼ぶんだけど、蛇皮張り(ニシキヘビ)なのが大きな特徴だ。ひと昔前の沖縄では立派な三線をもっていることが富の象徴だったんだとか違かったんだとか。オイラはなんでも良いんだけど、人間って面白いな。

*おまけ話
キジムくんが弾いている「かぎやで風」は琉球古典音楽の代表的な楽曲のひとつして知られています。主に祝宴の座開きとして踊られる祝儀舞踊につけられた歌です。また三線のルーツとしては琉球王国時代の14世紀末に中国大陸(明)から伝わった三紘(サンスェン)が原型となり、三線→三味線へと繋がっていると言われています。17世紀初頭、三線は琉球王国の宮廷楽器として採用され、1879年の廃藩置県により王朝がなくなってからは村の祭事や芝居などで用いられたことによって庶民へと伝わりました。戦後は物資不足の中、食料の缶や落下傘やパラシュートの紐で作った「カンカラ三線」が生まれるなど、長い歴史があって今日の私たちが民謡やポップスなど様々な音楽とともに楽しむことができるというわけです。

*ぬいぐるみの特徴
名前:三線の音色くん
3本の弦からなる三線の音色。三線の個性で音色の違いは色の数だけあるけどこの子は黄色、黄緑色、紫色の音色から生まれた。例えば黄色は一色では表現できない多様な黄色から音を作り出す。それぞれの色が言葉では表せないほどの音色を持ち、たくさんの音色の子供が存在する。作り手、弾き手、場の雰囲気など様々な混ざり合いで音色は誕生する。この子はキジムくんがガジュマルの木の上で演奏した時に生まれた野生的な音色に近い子供。

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◯サンゴの日(3/5)

「さん(3)ご(5)」の語呂合わせとサンゴの誕生石という理由から、1996年(平成8年)に国際的NGO(非政府組織)の世界自然保護基金(WWF)が制定したんだって。沖縄といえば多様な種類のサンゴが生息する美しい海を思い浮かべるひとも多いはず。サンゴの数は日本で見られる約400種のうち、なんと380種以上が沖縄に住んでいると言われているよ。世界に800種近いサンゴがいるっていうからまーざっくり半分近くが沖縄にいるってわけだな。特に石垣島の海には300種近くのサンゴが生息している、サンゴのパラダイスなんだ。サンゴ(造礁サンゴ)が集まった地形であるサンゴ礁は沖縄の場合、裾礁(きょしょう)と呼ばれる島の周辺を囲むタイプのものがほとんどなんだ。あとサンゴが隆起してできた島として「竹富島」「黒島」「水納島」「伊良部島」などが知られているよ。サンゴ礁は自然の防波堤であり、多様な生態系の基盤となる海の生き物たちのオアシスだ。いつまでも沖縄の美しい海とサンゴを守っていきたいよな。

*おまけ話
サンゴは刺胞動物と言われるクラゲやイソギンチャクと同じ仲間に分類されます(正確には「刺胞動物門花虫鋼」)。「ポリプ」と呼ばれる触手に囲まれた口部分から摂餌・排泄・産卵を行います。1種類のサンゴでも、環境の違いでその形がさまざまに変化することから明確に分類することは難しいとされています。サンゴ礁の地形はキジムくんが紹介していた裾礁がさらに進み、外礁と島の間に窪み(ラグーン=礁湖)が生まれる堡礁(ほしょう)と、やがて島全体が沈み円形のサンゴ礁だけが残る環礁(かんしょう)といった段階があります。

*ぬいぐるみの特徴
名前:サンゴの赤ちゃん
生まれたてでまだ弱く儚い。周りにいる大人サンゴに守られていたが、台風で渦と波に流 されてしまった。満月の夜に海岸を彷徨っていたところをキジムくんに助けられて今に至る。キジムくんにお世話をしてもらっているうちに海に生息しなくても大丈夫な身体になったが陸では成長が著しく遅い。この先なかなか成長しない自分を嘆いて海へ帰ろうとす るかもしれないが、もう海では呼吸ができない身体になってしまっているため、陸で大切に育ててあげて欲しい。

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◯シーミー(清明祭 / 旧暦の3月上旬(2023年は4月5日))

旧暦での伝統行事の多い沖縄にあって最大のイベントのひとつとも言われるのがシーミー(清明祭)だ。二十四節気のひとつで旧暦の3月上旬(新暦の4月5日頃)の清明の節に行われる、中国から伝来した祖先供養の行事なんだよ。首里を中心とした中南部を中心に行われていて一部の離島ではシーミーをしないところもあるみたいで、本土には伝わっていない。「清明」の文字通り、清く明るい季節に祖先のお墓に親族が集まって、お墓参りをしてから賑やかで楽しい雰囲気のなかで会食をするのが慣わしだな。お墓でみんなでピクニック、って感じをイメージしてくれ。墓前にはお酒、重詰料理、果物、菓子、花、線香なんかを供えて土地の神々に先祖に代わって感謝を伝えるってわけ。故人がちゃんと成仏できるようにと祈る追善供養とはちょっと違うのが特徴だな。

*おまけ話
琉球王国の歴史が記された『球陽』という史書には1768年ごろからシーミーを行っていた記録が残されています。先祖ゆかりの御拝領墓(ウサチ元祖)を巡拝する「神御清明(カミウーシーミー)」、本家の父方の門中墓で行う「門中清明(モンチュウシーミー)」、家族だけで行う「清明祭(シーミー)」といった区別があります。キジムくんが土地への感謝を伝えると言っていますが、実際には「私どものご先祖さまをこの地で安らかに眠らせていただきありがとうございます。これからもこの地で先祖が成仏できますようにお願い致します。」といったことを祈ります。また、キジムくんが言う沖縄独特の大きなお墓のことは「亀甲墓(かめこうばか、きっこうばか)」と言います。

*ぬいぐるみの特徴
名前:シーミーちゃん
親族がお墓でピクニックをしてくれるから、自分もおにぎりを握って持って来た。みんなで食べるご飯は美味しくてとてもしあせな気持ちになる。毎年シーミーの季節が待ち遠し くて数ヶ月前からおにぎりを握って腐らせてしまう。そんな時、友達のゾンビたちは「腐ってる方が美味しい!」と言ってもりもり食べてくれる。あの世にはゾンビや幽霊など愉快な仲間がいっぱいいて、この世には大切な家族や親族がいる。それだけで毎日楽しく幸せを感じる。あの世もこの世も大切にしている。

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今月も愉快で可愛らしい、一度は会ってみたいと思わせる面々だっただろう!
太陽が気持ちい季節、4月は夏日も何日かあるかもな。夏ももうすぐだ。
またやーさい。